ジョブカードは人を救うか。

バブル崩壊後の失われた10年に社会人デビューせざるを得なかったアンラッキーの人たちや、母子家庭など社会的にハンディキャップを背負った方たちに、適切な職業機会を与えようと創設されたジョブカード制度。その普及に拍車がかかっています。ジョブカード推進者を育てる研修が各地で相次いで開かれ、一人ひとりが自分のキャリアの履歴や学んだこと、身につけたことを適切に記録に残せるようになったことは、キャリア開発にずっと携わってきた身にとっては嬉しい限りです。できれば夢やビジョンも書き連ね、定期的に振り返ることで、自分の居場所を確認する、そういうシステムになるといいと思います。ところが、ウワサでは近々始まるマイナンバー制度と連動して、キャリア履歴も個人情報として一元管理されるようになるとか。基本的にジョブカードは本人が管理するものなので、誰かがそれを見て何かアクションを起こすということはあり得ないのですが、それでも、誰かに管理されている感に、息苦しさを感じます。ものごとにはおしなべて表と裏があります。表のメリットを享受しながら、裏のデメリットをいかに緩和するか、ここに人の知恵の見せ所があります。