コンサルティングコラム

23回 女性にどう活躍してもらうか

昨日、大手企業の事業部長と話をしていたところ「うちは女性社員に対して古い扱いをしている」という話題になりました。表面的には大切にしているように見えるけれど、実際はその逆。少し前と状況が変わっているのは、以前は会社が女性に重要なポジションを与えなかった。でも、いまは、会社側は、優秀な女性を抜擢して重要なポジションを与えようとしている。でも、男性社員の反対勢力が大き過ぎて、せっかく与えられた責任ある役割を女性が全うすることができない、と。

 

問題の本質は経営側にあるのではなく、社員をとりまく環境にある、ということです。この問題、会社のなかに起こりうるほとんどの問題と根幹は共通しています。つまり、許容する環境ができていない、ということです。

 

なぜ許容できないか。考えうるそれらしい答えは、許容すると自分のポジションが脅かされるという根深くて意識化しにくい信念にあると思われます。実は組織のなかで起こる多くの抵抗は同じ信念に基づいて発生します。「それを認めてしまったら、私のいる場所がなくなる」あるいは、「それを認めてしまったら、私のプライドが維持できなくなる」です。

 

人のなかに強固に根付いた信念を覆すのは容易ではありません。そこに対してアプローチをしても徒労に終わるのは目に見えています。とりうる策は、ゆっくりと優しく少しずつ砦を崩していく方法です。「あなたが私を認めても、あなたの存在は脅かされない」というメッセージを、相手が喜ぶかたちで少しずつ出していくことです。「女性は男性(自分)より劣っている」と思っている男性に対しては、女性側から「私はあなたより劣っている」という望みどおりのメッセージを明確に醸しながら、「あなたが私を認めてもあなたの存在(プライド)は脅かされない」というメッセージを同時に発信していきます。

 

それは共通点のない人同士の間に、無理やり共通点あるいは共感できるポイントを探し出すのと似ています。表面的な差異の深部にある、共有している何かを探り当てる。そこから好ましい関係性を立ち上げ、その関係性によって脅威に対する恐れを和らげるのです。

 

この方法にも難点はあります。女性の側は、実に不本意ながら「私はあなたより劣っている」というメッセージを発信しなければならないからです。自分を許容してもらうために、自分の大切にしている別の一面を捨てなければなりません。つまり、もう一回り大きく寛容にならなければいけない、というわけです。なんとも矛盾した、だからこそ、人間関係の面白い局面です。