コンサルティングコラム

22回 経験がないということ

先日、とある事業部長と話をしていたときのこと。「元気のいい若い社員がいて、こちらが絶対無理だと思うことも、頑固に主張するので説き伏せるのに苦労する」とのこと。事業部長にしてみれば、過去に同様の経験があることから、若手社員の主張通りに実施したところで、ほぼ100%失敗することが見通せます。でも、経験のない社員にしてみれば、可能性だけが見えているわけですので、事業部長の言葉が信じられない。こんなとき、あなたならどうしますか。

 

私は条件が許せば、やらせてみることをお薦めしています。条件が許せばというのは、必要な費用やうまくいかなかったときの会社に対するダメージの大きさなどを勘案して、ということです。

 

失敗ほどよいレッスンはないといいます。人の心に深く刻まれるのは、本や誰かから聞いた知識ではなく、経験から学んだ教訓です。

 

さらに言えば、事業部長の若かった時代と今では状況が変化しています。過去にうまくいかなかったときとは、関わる人も、その考え方も、もっと言えば時代の流れも変わっています。

 

昨年1月、厚労省がモデル就業規則に記載された「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という文言を削除し、副業・兼業が原則OKになりました。禁止から許容への180度の転換です。時代が変われば前提条件が変わります。お客さんのニーズに関しても同様でしょう。過去に試してみてうまくいかなかった顧客対応策も、新しい時代環境に照らせばうまくいく可能性があることを否定することはできません。

 

経験がないということは、既成概念にとらわれないという意味で、強みであると思います。経験のある人は、経験があるということが時には弱みに転じることを認識しているべきでしょう。