コンサルティングコラム

第6回 ティール組織のもたらす幸福

次世代の組織と呼ばれる「ティール組織」は、自主経営、全体性、存在目的の3つの属性をもっているといいます。このうち自主経営では、ほぼすべての権限は組織のメンバーに与えられており、経営者ですらメンバーに対する強制力をもっていないといいます。間接部門としての事務局機能が存在しない場合もあり、人事や経理などの間接業務は、製造や販売などの直接業務を行う1530名程度の単位の組織に分散して割り振られることになります。これによって組織の末端に至るまで自分の意思で仕事ができ、自主的な行動が可能となる、というわけです。

 

現実の組織を見てみると、依然、経営企画室や事務局などの「上部」組織が物事を決め、組織のメンバーに対して指示を出し、メンバーが従うという構造は存在しています。権限を持つ側は、現場を知らず、現場は押し付けられる役割に不満を抱きながら従わざるを得ないという風景を頻繁に見かけることがあります。

 

かつて私は「組織の中で生き残りたいと思うなら、組織の階層構造に従い、自分が息できるだけの狭い範囲で楽しめば良い」と言われたことがあります。組織に従う立場で、その閉塞感に苛まれることなく生き延びようとするなら、このようなしたたかな戦略をとるべきだ、と。しかし、こうした個々の戦略が、組織の中に部分最適の弊害を生み、全体最適の調和に至る道を閉ざしていることは自明でしょう。

 

組織の中の人が自己防衛をすればするほど、組織は硬直化し、内に閉じて、顧客や社会の眼差しをはねのけるようになります。その行き着く先は、不正隠しなどの企業スキャンダルです。

 

これからの時代は逆の方向を目指すべきでしょう。組織に属する人が自己防衛する必要のない安全でオープンな環境、フラットな人間関係、個々が意思決定権を持つ自主経営の風土が、一つの組織としての全体性を生み出すはずです。

 

人間の体は60兆個の細胞からできていて、司令塔がなくても、きちんと全体の調和を保ち、一人の人間としての生存に貢献しています。人間がつくった組織も同じ自然の摂理にのっとり、存在目的を共有しながら意思決定権を分散させていくことで、組織も構成メンバーも幸福な生き方を選択できると思います。