コンサルティングコラム

第4回 「恐れ」と進化する組織

今年話題になった書籍の一冊に「ティール組織」があります。原題は「Reinventing Organizations—A Guide to Creating Organizations Inspired by the Next Stage of Human Consciousness」。日本語にすると、「組織を改革するー次のステージの人間意識に導かれた新たな組織創造の手引き」のような感じでしょうか。4センチはあろうかという厚さの書籍です。中でも私が最も感じ入ったのは、組織の進化は人類の意識の進化に伴って起こる、というくだり。ピラミッド型のヒエラルキが支配する組織に対して多くの人が「息苦しい」と感じているのに、そうでない組織、つまり自由に自分が表現できたり、上司の判断ではなく自分の判断で行動できたりする組織が容易に現れないのはなぜか。その理由がすっと腹に落ちてきました。

 

その理由、というのは、つまり、私たちの意識の準備ができていないということです。言い換えると、現状の閉塞感を打破する新しい組織形態を許容するだけの価値観、世界観、あるいは、懐の深さを持ち得ていないということです。

 

部下を育成できないプレイングマネージャーの例がよく引き合いに出されます。この手のマネージャーは表面上「部下が育たない」ことを嘆き、その原因が部下にあると考えていますが、実のところ、「部下が育つ」ことに心の奥で恐れを抱いているために、部下が育つような接し方をすることができません。

 

次の意識レベルに移行する上で大切なことは「恐れ」を手放すことです。プレイイングマネージャーが恐れを手放せない理由は、部下が育って自分のライバルになることを防御したいと無意識下で思っているからでしょう。原因は組織の価値観にあります。

 

この堂々巡りから抜け出る一つの方法が、「恐れ」を手放しても安心して仕事ができる環境を組織が提供することです。風通しの良さ、人間関係の良さ、一人ひとりが居場所を確保できる安心感といったものが保証されれば、「恐れ」を手放す勇気が出てきます。次のレベルの組織に移行する準備が整ってくるのです。

 

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