コンサルティングコラム

会社の業績と働く人の幸せを両立するための考え方や方法についてお伝えします。

 

第1回 企業業績と働く人の幸福感が両立する組織を目指して。20180919

中小企業の社長の一番の関心ごとは、いうまでもなく業績でしょう。利益が出なければ給料も払えないし、そもそも会社が存続できない。さらにいい人を採用していい仕事をしてもらおうと思ったら、職場環境も整え、社員満足度が上がるような施策を打たないといけません。

 

特に昨今は「働き方改革」もあってワークライフバランスの充実やら何やらも求められます。働く側から見た満足度の向上が実は経営者側の忍耐や工夫を伴っていることは多くの経営者が語っています。

 

私がずっと研究をしてきたのは、経営者が利益を追求していくと自然に働く人が幸せになってしまうという魔法のようなツボについてです。昨年完成した「人材の幸福感と業績が両立する企業の質的研究」という論文では、人材の幸福感と企業業績の両方が実現している企業に共通の特徴として「マス・アイデンティティ」という状態があることを述べました。

 

「マス・アイデンティティ」とは一見矛盾する言葉ですが、マス=全体としてのまとまりがありながらも、個々の人がそれぞれのアイデンティティを維持しているという状態を表現した造語です。

 

「マス」の中には、企業であるからには経営理念やミッションステートメントなど全員が念頭に置いて行動すべき考え方が存在しており、それが全体性の維持に役立っているという視点があります。ところが、「マス」が優先されると、個々の「アイデンティティ」つまり個々の特徴、個性といったものが抑圧されがちです。

 

まじめな従業員ほど上からの指示に応えようと誠心誠意努力し、結果として自分の個性や、やりたいことなどを見失ってしまいがちです。しかし「マス・アイデンティティ」のもとでは、会社の理念を働く人それぞれが共有しながらも、個々の人は自分ならではの強みや特徴を見失わず、逆にそこに根ざした行動によって周囲にポジティブな影響をもたらしています。私はこういう状態をたくさんの企業に作りたいと思っています。